特別支援教育便り 子育て応援コラム No.5

2022年2月14日 09時00分

保護者の皆様、日々の子育てお疲れ様です。

お子さんの行動の理由や、関わり方のちょっとしたコツを、いろんな方の成功事例や、特別支援教育の観点から紹介していく子育て応援コラム。

今回は、言うことを聞かない子への対応最終回、「決定権を誤解する子」です。

 

皆さんの周りには、

おもちゃやゲームを買ってもらえるまで、泣き叫んで地団太踏んでいる子や

公園から帰ろうとすると大泣きする子、

止めてと言っても止めない、やろうと言ってもやらない子は、いませんか?

こうしたお子さんの行動の背景には、「決定権の誤解」の問題があるかもしれません。

 

出かけた先で子どもが急におもちゃを買って欲しいと言い出したので、ダメよと伝える場面を考えてみましょう。

おもちゃを買うかどうかの「決定権」は、本来、買ってあげる大人にあるはずです。

それをきちんと学習して分かっている子は、しばらくチャレンジした後、残念そうに諦めるでしょう。

しかし、まだ学習しきっていない子は、泣いたり暴れたりとチャレンジを継続してきます。

そこで、根負けして「今日は特別ね。」などど子どもの言うまま要求を受け入れてしまうと、子どもは、「泣き叫んだり暴れたりすると親は言うことを聞いてくれる。」と誤った学習をしてしまいます。こうしたことが何度か続くと、おもちゃを買うかどうかは自分が決められると決定権を誤解してしまうのです。

また、「これはダメだけど、別のものを買おう」と他の何かでご機嫌を取ることも、子どもの泣き得、暴れ得になり、決定権の誤解につながってしまうようです。

決定権を誤解した子は、次回以降も大人がダメと伝えると、諦めずに泣き叫んだり暴れたりと頑張って、決定権を行使しようと戦いを挑んでくるようになります。

 

泣き叫び暴れる子の相手は、とてもとても大変なことですが、決定権を誤解されるともっともっと大変なことになります。この場面では、子どもの気持ちはくみ取りつつも、毅然とした態度で、「それ好きだから欲しいよね。でも、買うかどうかは、親が決めること。今日は買いません。帰ります。」とはっきり伝えるようにしましょう。泣いて抵抗してくる子もいるでしょうが、その子の学びのために、心を鬼にして、毅然と伝え続けましょう。その積み重ねの中で、子どもは、自分の思いがいつも通るわけではない、人に合わせなければいけない場面もあるということを学んでいくようです。

 

決定権の学習は、楽しいことから始めてみる方法もあります。

ポイントは、「ルールを守って一緒にやると楽しい」です。

家族団らんの時間は、決定権の学習を進めるのにもってこいの時間です。

ゲームでも、運動でも、何でも良いので、お子さんの好きなものを、ルールを守って、家族で一緒に遊んでみてください。ダメなものはダメ、ルールを守って一緒にやると楽しい、という体験を積み重ねていきましょう。